Hacksaw Ridge(裏切りの内面化・人格化と向き合うには#2)
今年も9月2日が近づいてきましたので。
ハクソー・リッジは2016年公開・沖縄戦における米衛生兵・D.T.ドスの従軍体験をもとに描かれた映画です。主人公はキリスト教安息日再臨派の敬虔な信徒で、自ら銃をとることを拒み、レイテや沖縄で多くの人命を救ったことから良心的兵役拒否者として初めて名誉勲章を受けたことで知られています。
本題からは外れますが個人的注目はリンク先・ムービー2分27秒~3分10秒辺り。白旗を掲げ、たこつぼ陣地から出てきた日本軍兵士達、投降したかに見せかけつつ隠し持っていた手榴弾を投げつけてきた!丸腰の主人公は手で弾き、足で蹴り返すも爆発で重傷を負う…日々介護職を苛む「裏切り」「対人関係の傷つき」を映像化するとこうなるのでは?相対する介護職は「手榴弾」を弾くことしか出来ないのか?ある種の無力感に包まれる、否、締め上げられるのですこの後その日本軍兵士達は悉く射殺されるわけだが、「裏切りへの報復は当然」不謹慎にも痛快さを禁じ得なかった。そして元・皇国臣民達を今日まで突き動かしてきたのは「ヤラレタカラニハヤリカエシタイ」強く感じるのです私の祖母は生前「第三次世界大戦は(戦争ではなく)勉強(を以ってするの)だ」と言っていた。方法が何であれ根っこは「そういうもの」では、思い返すのだ。
かつての戦中派は今やほぼ全て墓に下り、昨今私(達)が関わる御年寄と呼ばれる方々はポツダム宣言受諾当時のティーンエイジャーが中心。ティーンエイジャーと言えばチカラに訴えたくてショーガナイ御年頃、そして「人が抑圧したものは世代が下る程直接的且つ短絡的に顕れる傾向」「大脳新皮質の歯止めが甘くなるとその人をその人たらしめた、横文字ならクライメイトとかいったもの、人格の土台が剝き出しになる」とは飽くまで邪推連合国との直接戦争に敗れ、対外侵略を封じられた日本人達が次に始めたのは身内への侵略だったのでは。またこの世代は戦後間もない頃の自殺が多かったことでも知られるが、私はそれを「大日本帝国 己への侵略」とみる。もっと言えば人は一度走り出すとそのやり方をなかなか改められず、多くの場合一生続けようとする…個々人に於いては「いろいろあった」のかもしれないにせよ、これらを以って介護現場が荒れなくて何なのだ、と言うのでしょうか。
何処に隠し持っているか?何時投げつけてくるか?報復せよと言うのではない、「図太く、でも純粋に」最低限身を守る、手榴弾を弾き、蹴り返すぐらいのことをしてもいいのではないでしょうか、「76年もあったぞ、今まで何してた?」。疑心暗鬼は同時に自称・戦後を生きる私達を形作っているものへの問いであり、私達もまた子孫達から後ろ指を指されることになることもお忘れなく。
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