マナーハウス麻溝台見てきたヨ
去る6月12日、この4月相模原にオープンあの辺りではカメリア藤沢SSTと並ぶ大型オープンだ。別法人とはいえ湖山医療福祉グループは勢いがあるなァした特養・マナーハウス麻溝台へお邪魔してきました。髙口さんが立ち上げに携わっている、ということで以前からお話は伺っておりました。関わりの媒体としての、働く環境としてのハードウェアに興味があったのと一度稼働し始めるとどうしても外部が立ち入れなくなるところも出てきてしまうことから本当は3月中に見たかったんですけどね…。えェ~ッと、リンク先のどこかにあるでしょうか?ネーミングとなったマナーとはバイブレーターコールじゃなくてマンションの語源となった「住まう」を意味するラテン語なんだそうです。
「(前略)多くの人を魅了する場所であるように、そして、そこに暮らしそこに集まる人々が出合い、その人々により大切にされて未来へ続いていく場所となるように願いを込めて…。(パンフレットより)」先ず以ってよく言われるのがマチュピチュだのモンサンミッシェルだのと言った世界遺産の名を冠したユニットの数々アウシュビッツと原爆ドームは無いのね、ピラミッドは墓ですってば!北極星を覘く穴は無かった戦前の入植を除けばイマドキの80歳代+α辺りが自称戦後日本における元祖海外旅行世代なのでしょうが、高度経済成長だの国土総合開発だのの一方で田舎はやっぱり田舎だったワケで…どうなんでしょうねェ?オープンから日が浅いせいもあってか「憶えづらい」と職員の間では不評、と。そして本館中央を貫く廊下から各ユニットへと枝分かれするレイアウトは迷路のようで、回廊型ならともかくこのテの判り難さも高齢者施設としては自身初体験。しかしながらその通路の途中には画像に見る休憩スペースに出来る凹みもあったりで、利用者様或いは面会御家族がパブリック以外でも座れるのが意外以上に良かったそうな。売店はありませんがパンの買える自販機は夜勤にウケそう?
パブリックはこんな感じ、まだフルオープンではなかったため全景を画像に収めることが出来ました。キッチンは目下湯を沸かす程度とのこと。洋館よろしくオッシャレェ~にキメるのは昨今の流行です高齢者施設も脱亜入欧?アナクロニズムも甚だしいが構造はそのままに日本の古民家然としたデザインは如何?白川郷も世界遺産でしょ。何処に何を置くか、そのためにはどういったユーティリティーが要るか、設計段階での詰めがあまく、尿取りパットが「そりゃ下駄箱と言わんか」に収められていました。何でもさもなくば職員の身動きが取れないとか、で。そして各ユニットには職員の詰所も設けられていますが「籠らせない業務」ッてヤツですね、トイレしか使わないそうでただの空き部屋になっていました。
こちらは各ユニットに配されている薬のラック。実は裏返すと申し送りボードになっています。開設前ここは電子カルテの全面採用を打ち出し、利用者様の記録はもとより些細な伝達事項1つに至るまで「部署のパソコン開けろ」になっていましたがどうしても不行き届きを防ぎきれず、「より直感的な手法で」鶴舞乃城方式に変えた、とのこと。最近介護は殆どパソコンを開けなくなったそうですが、デスク看護は不満らしい。
洗面台完備を除けば平凡な居室で目を惹いたのはGCOMM製のコールシステム。スイッチユニットは全てワイヤレス、バァチャンがベッドのサイドレールへケーブルをクルクル、ギチギチと巻き付け「さァ断線を、お前を殺して私も死ぬ超大ウソ。正しくは『世界の全てを踏み倒して私のエゴは完成する』」が無くなる半面、御丁寧に小汚いティシュペーパーにくるんでズボンのポケットだのハンドバッグだのへ…その先は御想像願います、多分「そう」なる筈。結局ストラップをサイドレールへ結わえる、と。それはそうと同じスイッチが浴室にもぶら下がってるのは使い難そう。黒いパネルには暗視カメラが仕込まれ、介護コールを鳴らした居室の模様がスマートフォン型端末に映し出されます、勿論通話も可。なお夜勤は目下3人で2フロアを看るそうですが、相方が休憩に入ると1人が全ての端末を持ち歩き、同時多発コール国民党政府との泥沼化した戦局を打開するため援蒋ルートを断ち、且つその先にいる英仏を牽制すべく日独伊三国軍事同盟を結ぶ。ソ連の横槍は不可侵条約で防ぎ、そこまでの戦争計画を確かなものにするため東南アジアの油田を押さえ、背後で不気味な動きを見せるアメリカ太平洋艦隊をやっぱり早めに叩き…のパールハーバーだったわけ。何が言いたいかッてェと、同時に仕掛けブッ壊すのが元皇国臣民のQOLであり、その先で待ち受けていたのが「ファナチックな美学と感情に彩られた破滅」だったのよに応え…られる筈がありませんので予想し得るリスク(喫緊度)順にフロアを駆けずり回るわけですねだから前にも書いたでしょ、知らせるだけじゃ片手落ち、イージスシステムよろしくそこで打つべき次手を自動化してこその電気仕掛けなんだってば。ベランダは回廊型。1周がおよそ250mトラックと同じくらい、とくれば自転車競技のソレ?
トイレは至ってフツー、左右勝手違いで双方の片麻痺に対応します、対象者後方からの移乗介助はちょっとやり難い?私のガタイがつっかえる「取り敢えず手すりは付けた。使い方はお前らで考えろ」。入所の長期化は重症化と同義であり、当たり前の生活だか何だか知りませんが着座環境の不備は後々大きな禍根を産むウチの職場でも起きなくてもいい事故が起きており、対策と言えば医療職が介護を恫喝するだけでしょう。
風呂だけはバリエーションに富んでいます、が…位相変換型は近頃の流行みたい。一見使い易そうでもシャワーとの位置関係が悪い、デッドスペースが多い、浴室によっては物の置場すらない案内して下さった応援の職員さんは「監査に引っ掛かる」と慄いていた、といった按配で、現場を知る人の目には「これ見よがし」以上のものは感じられず、ココの職員さんには「可哀想」以外の言葉が見当たりません。オマケに脱衣室が絶望的なまでに狭く、リクライニング型車椅子が1台入ったら介助者は身動きが取れなくなります。そう、これ見よがしとくれば一連の製品は何れもPanasonic エイジフリー製。浴槽の寸法に合わせたシャワーチェア画像のソレは矢崎製1つ入れようにも「全て抱き合わせでないとメンテナンスしない」と脅してきたんだってサ。
機械浴があるのは「設置基準」とか何とか、そんなの聞いたことありませんなァ。健常者なら長座位、或いはギャッチベッドで背上げされた状態で入れるカプセル型、湯は循環式で出し入れに約3分、この大きさとしては比較的早い方でしょうが、入れて3分、浸かって○分、抜くのに3分…その6分で何が出来るか?現場の苛立ちが見えるよう。但し重症度の高い方でも技術一つで一般浴槽に入れるのを応援職員が証明したためかオープン以来1回しか使っていないそうで、これまたデスク看護は不満らしい。
「案外悪くない」のがコチラ、木製の位相変換型。画像では判り難いのですが底へ向かってテーパーが付いているのは「あまり気にならない」と。手前・短辺側から脚を入れ、幅広な縁に腰掛けてからザブン、と。設備が出来上がってから介助法を考えるのは「さもなくば仕事・利用者様に辿り着けない」、どう関わるか・どう入って頂くかを予め決めてから図面を引いた鶴舞乃城/星のしずくからすれば途方もない遠回りなワケで、オープニングスタッフの苦労がしのばれます。
大きいノもありました。水を張っているのは適度な湿気を保つためで使うインターバルが広がるとやるのだ、とつまりはあまり使ってないからか。ココで湯灌も?いずれその話も聞けるでしょうかコレに係る星のしずくのYoutubeが消滅してしまったのは残念至極。各脱衣室に内線電話が設けられているのは羨ましい、コールだけでは相方が来てからでなければ用件を伝えられませんからね。
その浴室に限らず全館の空調はもともと窓を年中閉めたままを前提にしていたとかで造りが充実しています。ただしこれもまた某所のカキコにある通り髙口さんが「病院じゃないんだから」毎朝窓を開けてまわり換気している「喚起」している、とも?そうで。
肝腎の車椅子撮りそびれました、と言っても光野さんの来楽(ライラック)が目を惹いたほかはこれまた至ってフツー。機種選定だったか光野さんが関わるとかで大いに期待していたところ程無くして「既に決まった後だった、入り込みようが無かった」と聞きガックリ。それはそうと光野さんがシーティング指導に入って下さるなんて羨ましい!ウチは…お前がやれ、と?コリャシツレーシマシタ。
屋上もあります、使い方はまだ決まっていないみたい。こういった広場にするのも結構ですが個人的主観では日除けをしかと、思います。最上階は夏場、日射でこの屋根或いは屋根裏の熱気がダイレクトにキて空調の効きを鈍らせますので前居た病棟ではその暑さで患者様が次々に熱発、枕に仕込む氷を貰いに各部署を行脚したものだ。敷地はフェンスで囲われてはいますが庭もあり、ココでもいずれは、なのでしょう。
学生看護看護学生に非ずの5大モットーは「見ない・聞かない・触れない・近付かない・私は悪くない」、噂は本当でした。フロア業務(直接処遇)を閣き1日の殆どを詰所に籠り遊戲雑談に耽る、とは若干の誇張を含みますが概ねそう言って差支えないらしい以前私がいた病棟にもコールが鳴る度介護を捜し始めるモノグサが。髙口さんを以ってしてもココはなかなか動かし難い、施設版・新しい介護を妨げるは医療そのものなのでしょうか、施設版・新しい介護のために医療が出来ること、ではなかったのか!1つの証明にはなっていると思います。
…
何でもハコが形を成してから経営陣が入れ替わったとかで管理ガチガチの病院方式からの脱却を目指しているとはいえアチラに合わせて作られたハードウェアは如何ともし難く、系列他施設から応援に入った方々も相当面喰っているのだとか。また運用の実際は内覧会ではおよそ聞けないことで、たいへん大きな収穫でした。実はまだ補足があるのですが、ソチラはまた後日記事を立てることにしましょう。
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