第40回 国際福祉機器展 H.C.R.2013見てある記
ウ~また今年も行事の設営が…前夜から会場入りまで寝られたのは新幹線の中だけ、フラフラのまま初日に行ってきちゃいました。当日朝NHKが政府の介護ロボット開発奨励の模様を紹介しており「ためしてガッテン」に青山さん呼んだのもう忘れてるな、気分だけはちょっぴり盛り上がっていたのですが。約6時間場内にいたうち殆どを車椅子屋との雑談に費やしてしまいました!今回はその車椅子とメカヲタネタを中心に取り上げましょう。
まずはクルマから、HONDA FREEDの昇降アシスター。普通乗用車でも1BOXの後部座席は地面からかなりの高低差があり、その筋ではスーパートランスやハネムーンといったテクを使ったりしますが、本機はスプリングで「よいしょッ」と移乗技量不足を助けるモノ。僅かな改修で済むので送迎車でウケるかもしれません。
DLデベロの軽乗用車向け移動浴槽・バスカOB-N660D。ベースはダイハツ HIJET、2分割式浴槽を重ねてラゲッジスペースへ納めることでリンク先にもあるとおり後部座席を潰さないのがウリ。古くからの住宅街には軽でも入るのがやっと、というところがありバイト先の送迎で大変な思いをした、本機なら訪問サービスの契約を取り付けやすくなる?多分に運用コストの問題なのでしょうけど、アホノミクスのせいで近頃ガソリン代高いしね。
専門学校生がヤッツケで描いた絵みたいな電子杖は富士通製。目的地を指定すると曲がり角で行き先をLEDで教えてくれるばかりでなく、画像・親指で触れているところに心拍センサーが付いていて、外出中の様態急変をホスト・コンピューターへすぐさま知らせることも出来るあたりモロにレーシング・カーリンク先・画質の都合上色加減算機能で降らせている「雨」が判り難いのが惜しい。基板はスマートフォンまんまだそうで、アレから脚が1本生えていると思ってくれればほぼ間違いありません。そのうち双方向テレメトリーとか言ってユーザーをリモート・コントロールしちゃうのも時間の問題でしょう。
離床・徘徊センサーに関して言えば経験その内容と程度にもよるがを積んだ介護職は物音、或いはコールを聞いただけでそれがどこの誰で、何を意味し、もしそれが複数!あって欲しくないが。同件については思うところがあるのでまた機会あれば書くつもりの場合どれを優先して応対するかは概ね判断出来るようになるものです、即ち感知だけなら別に電気仕掛けでなくてもウチの職場なんか鈴だゼ、なワケ。問題はそこからどう展開するか、もっと言えばそこへ何が割り込んでくるかで悩まされ…ホントに方法で解決してみせるというのならイージス・システムの1つも出てきておかしくないでしょう?ただしプログラムをちょっと書き換えれば、のSF(ホラー)はまだ実現していない、筈。
半年でまた手直ししてきました、橋本エンジニアリングのMC-Xプロトタイプ。キャスター軸ハウジングにオフセットが付きましたが来場者からは「まだ足りない」との声が特に足漕ぎをなさる方は重要。ただしあまり大きくする(外へ広げる)とベッドや洋式便器への「おっつけ」があまくなる。ブレーキはニッシン製、なぜ「もどらん」じゃないの?ホイールはカーボンシェルをモナカ状に貼り合せたもので、キャンバーが付いていないのは「荷重のかかり方が変わるため割れる」と、まだまだこれからですね。少し前にNHK静岡で紹介され画像・車椅子の背後にあるモニターで流れていた「TV観ましたよォ~」と声をかけると社長以下皆さん笑顔を見せてくれました。
国立障害者リハビリテーションセンター研究所の介助型車椅子キャスターアップ(段差越え)時の強度計測デモンストレーション。壊れぬよう作るのはまァ当然としても無闇に縦剛性を高めると乗り心地に響くのでは?車椅子の強度解析は未解明の部分があるらしく、これもいずれJASPECの評価基準に反映されていくのでしょうか。
こちらはでく工房。ベルビス(骨盤)サポート椅子・Repoに以前本Blogでも紹介したノビット、側臥位三兄弟、moderatoを。その車輪無し版・自由自坐位はティルト+リクライニングを電動化したもので、夜勤明けに坐ろうものなら瞬く間に根っこが生えてしまいます、チョ~ヤバい。
光野さんはランダルコーポレーションのブースでデモをしたり忙しそうで、一言挨拶が出来ただけでした。またブリコラージュ最新刊をココで買いましたが、1週間後の勉強会で1割引きだった!
昨年のクークルSに続いてMAXが持ってきたのがクークルM。「S」からの変更点は車輪径拡大、メインフレーム(ダウンチューブ)の丸パイプ化、ブレーキのディスク化、等々。ウェルフェアの時と応対して下さった方が違うので同じ質問をぶつけてみました…
私「後輪ブレーキが片方だけのままだが?」
営業さん(以下:営)「その通り。デフそのものに設ける案も出したがエンジニアに蹴られた。インボード化はアリだと思う」
私「(前)双車輪は空気圧を揃えなくてはならない。そこまで気を遣って乗る人がどれだけいるのか?ポリマーライナー置換は?」
営「その通り、ただしポリマーライナーだとクッション性低下は不可避。本当はトーインやキャンバーも付けてやりたい」
私「低床化のためとはいえクランクが短過ぎる。(脚に)長さが合わないと膝を痛める」
営「(本機とはタイプの異なる車種で)考える」
私「シングルスピード用チェーンテンショナーを使わないのか?なぜディレーラーを?」
営「そういう部品もあるのか。確かに無駄があると感じていた」
私「セニアカー(電動カート)では脚を使わなくなってしまう。自転車の次がいきなりアレとは如何なものか」
営「その通り。我々もそこを強くアピールしたい」
私「リハビリ目的だけに使うのは勿体無い。キャリアを拡大、或いはキャリアそのものをフレーム化して運送屋に使ってもらったら?」
営「可能性を感じている」
私「CYCLE MODEには持って行かないの?」
営「ちょっと方向が違うような気が…^^;」
…とまァ、話の解る方でしたのでつい調子に乗ってしまいました。コストで妥協を余儀なくされた悔しさも窺えますね。加えて「(事務機屋である我々が作ったので)自転車方面では全く知られていない。ネットで書いているのならぜひ広めて欲しい」とも。
「またこんなノ出てきた」は766のチタン製プロトタイプ、というより習作。見た目こそ北欧の向こうを張っていますが大阪のTigに対抗するにもまだ20年早い、溶接コレですから。ただレギュラーモデル・ZEROは塗装がカドワキコーティング、パンテーラやOXから強奪してきたような失礼数々のオプショナル・パーツと、どこぞの特別だったのが徐々に日本のフツーになりつつあるのは喜ばしいこと。あとは「加工貿易国家が軍備だなんて笑止千万」「クルマばかりが工業製品じゃない」と、背広着るしか能の無い輩のいびつなコスト感覚をどう矯めていくか、と言ったら論が飛躍してるかな。
いつかは出ると思った、と言うよりこういった類のほうがソーラーカー普及は早いかも?大連森谷新エネ電力技術有限会社の太陽電池パネル付き電動カート。日本のソレも電気を大食いする、と聞いておりますので本機なら取り敢えず自宅にはたどり着けるでしょうか。夕方だったら?通りがかったクルマのヘッドライトで…(絶対違う)。
モデルさんの下半身に絡みついているのは東海ゴム工業の歩行アシストスーツリンク先・記事末尾参照。同社の介護ロボットやマットレスでも使っているスマートラバーセンサが脚の動きを拾い、振り出す力をモーターで助けるモノで、他社機よりちょっと造形が大人しくなりました。大和ハウス工業のブースで競合を聞いたところ「共存共栄。技術の出所が同じなのでお互い切磋琢磨していきたい」と。
Saiが出展していたのはアミューズメント・リハビリマシン ドキドキへび退治Ⅱ。外観から御想像のとおり実際の開発はナムコ、アレをもとより感覚の鈍い脚でやらせるのがミソ。いちばんウケるのは夜勤明けの職員だと思います。蛇が噛みついてこない、噛まれたカウントが無いので盛り上がりに欠ける?
転落が不安だが移乗には介助が要る方、皆さんの家・施設にいらっしゃまいせんか?そんなときにはもはやテレショップLowLand Bed Zero。ボトム高を5㎝まで下げられますので本機周囲を布団やマットレスで固めて段差を埋めればどこまでもゴロゴロ出来ちゃいます。聞いたところ「いっぺんに、ではないが2・3台ずつ、確実に出ている」。
モーターをヘッド&フットボードに収めているぶんその存在を自己主張してしまいますが、ボトム下にフレームが無いので車椅子、こと足漕ぎ用にキャスターのオフセットを大きく取った機種のアプローチが容易、掃除も楽など、補って余りあるか、と。座面を地ベタまで下ろせる車椅子と組み合わせれば、いざって出てこれる力を逆に利用できるのではないでしょうか。
クリーンルーム用洗浄機器を手掛けるパイオニア風力機からは一般向け靴底クリーナー・エアー吸着マット、踏んでる間だけスイッチが入る節電性をアピールしていました。「撮るな」と営業がうるさかったので遠巻きに、リンク貼れば十分ではありますが。車椅子出入りの都合で私の職場エントランスには段差が無く、且つ入ったらすぐ上履き使用、即ち外と内を隔てるのは線1本だけなのがちょっとヘンな感じ。本機を挟んで館内何処でも下履きだったら楽なのになァ、床の傷みを早めるかもしれないけど。
…
「業務処理の速度差が人間関係をも破壊し得る(坂本宗久)」時間であげてこそのプロ、モータースポーツよろしくサーキットを1周してきて1秒遅れたら「あんたクビね」まではいかないまでも、相応の扱われ方に遭う厳しさは介護保険事業とて例外ではありません先日職場の入浴委員会で「衣類準備→利用者様誘導のタイムロスが云々」と話があったが、それッて「○○コーナーのブレーキングはあと△m詰められる」と全く同じよね。福祉用具を何でも無条件に持ち込もうとは思いませんが機材の不備を人間の精神力でカバーする無謀さは前の大戦で実証済み、「足らぬ足らぬは工夫が足らぬ」は昭和の昔で終わらせたいものです。私もマルチ・ディフューザーだのアクティブ・サスだのを具え、せめて同僚の背中が見える位置で仕事がしたいものだニャ~。
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