SJAC2012国際航空宇宙展
前回幕張で見たのは学生の頃のこと、ホント久し振りです。ポートメッセなごやは自転車を寄せておけるところがあるので現地で走らないくせにDAHON抱えこの件についてはまた後日、去る13日に行ってきました。早めに地元へ戻りたかったので9時過ぎに名古屋入り、同じようにやって来た開場待ちの皆さんがなす長蛇の列がはけたら入ろうと思ったところこれがなかなかどうして時間がかかるおまけに会場周辺がやたらタバコ臭かった。しびれをきらして最後尾についたところやっと理由が解りました、だらだらとチケット切りしているだけでなく入場に当たり1人ずつリストバンドを渡し、ゲートを抜けたところで客がソレをはめていたので流れが悪くなってたんですねェ。「全く以ってバカなことを」…それでは漸く場内へ、内容は多岐に渡っていますので目立ったものだけかいつまんで。
「レシプロ・エンジンは4行程のうち1行程しか実際には仕事をしていない。そこでシリンダーを増やしていったわけだが、高出力化にあたり吸気→圧縮→燃焼→排気を連続化出来ないだろうか?がジェットエンジン開発のきっかけだった」と熱く語るオッチャンの前におわしますは日本初のターボジェット・エンジン「ネ20」。辺りはヒコーキ小僧「元」を含む達がグルリと取り囲み、これまた熱い視線を投げかけていました検索してみたところ出展は恒例みたい。基礎研究だけなら日本もけっして遅れてはいなかったこと、絶望的戦況、突貫作業で進められた開発牛車で運ばれたのは十二試艦戦だけではなかった、降伏寸前に木更津から飛んだ橘花、接収…燃料・滑油ラインが色分けされているのはノースロップ工科大学かのノースロップが社の人材育成のために作ったの学生達が自らの勉強で解り易くするためにいじったためだとか。
英語の銘板は「大学の好意で、を示せばずっと無償でOK」70年代にIHIへの貸し出し事実上の返還。当時アメリカは既に本機を遥かに凌ぐものを実用化していたからにあたり付けられたもの。「ジェットエンジンの開発は今なら20年はかかる。どこまで持つか、をはっきりさせる可く耐久試験を繰り返すため」ドイツから持ち帰った概略図からわずか半年でプロトタイプを飛ばしたのは当時にあっても驚異的。「やれば出来る」を証明してみせたとはいえ、それは同時に無理に無茶を重ねる狂気じみたもの、思わずにおれません。「ターボ・ラムジェット・エンジンの理論は完成されているので、皆さんのお孫さんが皆さん位になる頃には実用化されているだろう。その暁には私にも教えて欲しい、いるかどうかは知らないが」とも。
4年に1度の開催ですので本展ではやぶさ(MUSES-C)の実績をアピールするのは帰還以来初めてとなります。画像は左が古河電池製Li-ionバッテリー天文衛星・探査機搭載は史上初。1億3000万回云々のアレだ、右は太陽電池パドルのヒンジに使われたNTN製球軸受見かけこそ地上で使うものと同じだが潤滑法が異なる、とのそれぞれ同等品。JAXAのブースにあったデッカイ模型は浜松にも来てたヤツでしょうか、ビデオは帰還直後の編集から手直しされておらず残念。
そして「コレを撮りに行ったようなもの」はやぶさ2のスケールモデル。外観上のポイントはKaバンドアンテナとインパクター、
新たにハイドロコスモジェン砲が搭載されたほかミドルゲイン・アンテナのマウントが2軸になっています。サンプラー・ホーンもモデファイされたそうですが、それらは中身の変化からすればほんの僅かなものらしい。
そのはやぶさカプセルのきょうだいがコレ。先日のHTV3号機に搭載され、大気圏再突入データ取得に成功したi-Ballのエンジニアリングモデル、かな。前回・2号機でも同じことをやったものの、アメリカ製故データの一部が非公開のため成果を十分に検証出来なかったそうな。
北海道で打ち上げテストが繰り返されているCAMUI SPACEWORKSの90P型ハイブリッド・ロケット、左画像がクラフトモデル、右が本物近況は植松さんのfacebookを参照のこと。アメリカでは民間機がISSまで行ってるくらいですからゆくゆくは日本も…「千里の道も一歩から」まずはこのくらいのヤツからデータを蓄積していかねばならないのですね。
コレが本展の目玉・MRJ(三菱リージョナル・ジェット)客室モックアップ前の混雑状況。座席は本物なのでしょう西陣織には見えなかったけどが胴体の輪切りはTV番組のセットみたい、およそ飛行機とは思えないハリボテでした。実際に座っての記念写真はOKらしかったのですが傍からカメラを構えるとすッごく怖い顔した係員に制止されてしまいました、企業イメージ落としますよじゃなかった、正体バレますよ。そこは開発中、見せられるものしかもって来れないF1の新車発表会だってあからさまに前年仕様のウィングやディフューザー付けてるじゃないののだからそこまでして勿体ぶる意味が解りませんでした…それはそうと、自称・国産が久し振り御存知のとおり「実は国産」はケッコウあるなのは本当としてもYS-11ガラス以外は全て舶来だったなんて言葉を持ち出すあたり世の中後ろ向きになってる、との思いを禁じ得ません。
会場の隅の方ながらデ~ンと鎮座していたのはKawasaki BK117 C-2 ドクターヘリとAgusta Westland AW169。本Blogでヘリコプターを取り上げるなんて珍しいでしょ、「こっちはキャビンの奥まで写真撮り放題だったゾ」三菱へのアテツケですから。したがってココで両機については詳説しません。
SEECATを通り越してモロ戦争だったのがロッキード・マーティンのF-35用光学照準システム、或いはミサイルのカッタウェイ・モデル達。航空宇宙展とくればこういったものまで含まれるのでしょうが…このへんのネタもJ-Wing誌で速報されていますのでテキトーに立ち読みされたし。
新明和US-2先代・US-1Aのビデオに感銘を受けたのは十ン年も前のこと。映画「海猿」公開にずっと先駆けていたスケールモデルとプロモーション・ビデオ。上面が濃緑色だとホント二式大艇が甦ったよう。以前から噂されている、海外への売り込みに係る案内はありませんでした。
…
昔と違って航空機の開発スパンが延びていますので、一部の時事ネタを除けば10年位空けても話題に遅れる感じはありません。開催期間中NHKで取り上げられたとおり近年中部地方の航空産業が注目されているようですが、開場が分割されていますとよほどのファンでもない限りトヨタ空港と両方足を運ぶのは考え難いと思います、即ちポートメッセじゃ狭過ぎる駅から延々歩かされ、途中公道を横断せねばならないのも気に入らん。本展の性格上動いているところを見せたいのは解らんでもありませんが、最低でも幕張遠いけど、歩かされるけどの広さが要るのでは…次に行くのはまた20年後かな?
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コメント
宇宙ってーと、ここんトコとりあえず火星がアツい。みたいな認識しかありませんけれど(^^;
とりあえず、詳しくなくてもメカメカした技術って萌えますm(_ _)m
20年後とかだと、えーかげんホントに月旅行とか出来るようになって・・・ ないだろうなぁ。。。
投稿: 川端 | 2012年10月24日 (水) 11:24
川端様、こちらではしばらくです。^^
>火星がアツい
探査車「オポチュニティー」が稼動再開したばかりのところへ数段優るスペックの「キュリオシティー」を送り込む(しかも漫画のヒーローみたいに)あたりはまさに研究・技術の蓄積量の差、アメリカの底力を見せつけてくれました。
実はまだコレだけじゃなくて、日本が以前PLANET-B(のぞみ)のトラブルで断念せざるを得なかった、火星の上層大気・電離層観測のため探査機をあつらえようとしているのだとか。競争とはこういうことを言うのであり、日本もケーサツ如きに天下り予算かすめ盗られる(HNへリンク貼りました)ようではダメダメダメなワケ。
また日本のロケットは三菱の独占化が進んでいて正直「知りませんよ」、故に比較的安価な打ち上げを目指すイプシロン(IHI製)にはちょっぴり期待しているところです。なおH-2A/Bの設計は人工衛星を静止軌道へのせるのに特化されていることから、相模原の宇宙研から「融通がきかん」とボヤかれているそうな。
>月旅行とか
最近ようやく大富豪であれば衛星軌道へ出られるようになりましたので、遅くとも50年後にはその大富豪が月の裏側をグルッと回ってくる位まではイけそうな気がします。ソレを人類の進歩と喜ぶのか、金銭収入の多寡がQOLそのものを決定づけてしまう現実(アメリカン・ウェイ)に溜め息をつくのか、解釈はそれぞれにありましょうが…。
投稿: alaris540 | 2012年10月24日 (水) 23:30