国際福祉機器展 H.C.R.2012見てある記・裏ケース会議編
今回は比較的ソフトなモノを取り上げてみましょう。
と言うわけで?下着です。画像は股の布地をちょっと厚くしたくらいの軽失禁用。私は仕事柄、中に挟む尿取りパッドのホールド性が気になってしかたありません。布パンツはどうしても押さえがあまくTENAは考えて作ってあるがそれでも横ズレに注意…男女問わずブリーフパンツ履かせたくなる程。パッドの中には船形が決まりにくいものもある、ギャザーが鼠蹊部をきちんと捉まえられないため幾度となく当直が泣かされているものですから。
エヌウィック(大和ハウス・扱)の自動排泄処理メカ「MINELET爽(さわやか)」は以前本Blogで紹介したヒューマニーとほぼ同じもの。排泄吸引およびタンクと動力セクションはフィルターで完全分離汚れにさらされる物は福祉用具購入となり、貸与とは別枠、現場職員・御家族はもとよりケアマネの手も煩わせません。コレで全共闘世代と学生看護の立場は安泰だ、一歩たりともベッドから逃がさんぞ!
ハッピーおがわの新型マットレス。クッションを4分割し部位によって硬軟使い分け、より積極的体圧分散を目指しますそのうち「起き上がり補助」とか言って幅方向にも分割するぜ。なお通路を挟んだ向かいにブースを構えるは「何が何でもエアマットでモゾモゾ阻止」三和化研でした、いい度胸してやがる三好ゼミのVTR流せば面白いことに。パンテーラ・ジャパンの営業さんには「車椅子のウレタン製座クッションはマトモに洗えないため排泄漏れを食らうと臭いが取りきれない。ココやパナソニック電工で扱ってる高反発クッションを御社の車椅子(クッションカバー)に合わせて切ってもらったら?」と煽っておきました。
「ヘ~ェ、こうなっていたのかァ」タイカのマットレス「αPLA F」の内部。体重の軽い方向けだそうで最上層に隠し包丁よろしく切れ目を入れて軟らかさを演出する画像では判り難くてスマンのはOtto bockの車椅子座クッションでも見られるもの。感触は反発の少ない「ムニャッ」としたものヘバッていたのでついゴロ寝してしまったでした。骨突出のある方のマットレス選定は難しく、軟らか過ぎると動きを妨げ、残存機能を奪ってしまいます。
保険適用が後押しとなり、離床センサーも改「良」が進んでいます。画像はbio sync(イデックスビジネスサービス・扱)の「あんしん長持ち離床センサー」施設版リンク先・チラシ左上隅の看護の絵が全てを物語っている。マットレスの下に敷いた帯状のセンサーマットが臥床/離床の区別にとどまらず心拍・呼吸をも検出、それらをモニターでリアルタイム表示、波形で起き上がりと寝返りを即座に区別出来るほか容態の変化までも介護には難しいよなァ…判るのだとか。マット中央が膨らんでいるのは空気チューブで、従来機で多発したというゲル漏れを排し耐用年数を延ばしているのがウリ「5年は持つ」と。ネーミングはココから。在宅版は通信回線へ繋げられ、検知だけなら地球の裏側からでもOKです、検知だけならね。
まさに人車一体?センサーよりはローテクなのがユニケアの車椅子用拘そ…じゃなかった、抱擁型クッション「やすらぎチェア」。趣旨はごもっともですが、ソレが安心なのかただ暑苦しいだけかは人それぞれかな。腕のまわし方が変えられる、ッてェことは羽交い絞めも出来る?拘束だッてばそれでもなお立ち上がるのには理由があるのでしょうが、傍目には不可解なものもあるので皆さんお悩みなわけで…私の所属フロアの利用者様は「トイレ行くんだから止めたらヤバイぜ『アーノルド坊やは人気者』より」が多いので「今だッ、連れてけ」になります。
ベビロイドからだいぶ人間に近づきました、ピップケアウェル安心のコミュニケーション・ロボット「うなずきかぼちゃん」。声かけに応えるのみならず自ら人に呼びかけたり呼び名は8種類。「介護さァ~ん」が無くて良かった!!、腕の振りで3種類の体操遊びができるそうな。これでお茶汲みなんか始めた日にはどっかの職員など即刻クビです、トホホ。
なぜに第一興商が?と思いきや、最近こういうのが注目されているとは知りませんでした。DK ELDER SYSTEMとかいって産学連携共同研究の成果だそうで。画像のオケは「津軽海峡冬景色」ですが、ほっかむりした2人の背後にあるモニターに注目、歌体操なんですねェ。元祖カラオケ世代がそろそろ仕事をリタイアする年齢に差し掛かっているのかァ、としみじみ…社会人になりたてのころ、歌詞の無いフュージョンやゲーム音楽、はたまたKRAFTWERKだのJ.ゾーンコレは音楽っぽくまとまっているほうだのばっか聴いてた私はカラオケ付き合いが甚だ苦痛でした。よしんば要介護度が付くくらい長生きした暁にはこういったエクササイズもイマドキの若い衆よろしく携帯プレイヤー片手に独りで黙々と、なんてことになるのかしらん。
ケッコウ面白かったのがコレ、独Servona(濱田産業・扱)のヴォイスエイド「SERVOX ECO」。喉頭摘出タバコの吸い過ぎよや気管切開、或いは呼吸困難で声が出せなくなった方でも画像のように喉へ押し当てることで喉頭の動きを拾って代わりに喋ってくれます。電源は単3、専用充電池のSERVOX DIGITALもラインナップ。同機は声の大小/高低を切り替える2つのボタンをそなえ、適宜使い分けることで抑揚も出せるとか。保険が適用できるかは自治体によって解釈が異なるので「要問い合わせ」。隣に写っている黒いテトラポット攻撃状態のトモスみたいなのは1本杖の石突にはめて自立させる足で、つっ掛ける・立て掛ける場所を探さなくて済みます。多点杖との橋渡しに使えるかも。
重さが選定のファクターたりえることはあるにしても、素材特性まで個別援助計画書に盛り込むのは、とは考え過ぎでしょうか。このカーボン製4点杖、画像にあるとおり実測で382g。特別短く切ってはおらず、杖を持ち上げたら量りも0gを指しましたのでたぶん本当だと思います。ただしカーボン=接着ですので浴室の中までついていくのは…いきなりヘタることは無いにしても。
普段TV観ないからなァ、オバチャン向け番組で大反響があったとかで。IMAGE CRFT Inc.のハンガー「いちどにありがとう」、ヒゲの営業さんがカマす「芸」に客足が途切れることはありませんでした。ウチの職場では利用者様の洗濯物が日々大量に出ますので、ドラえもんの「ロボッター」でもくっ付けて分別・収納は勿論のこと更衣介助も衣類に自律行動させたくなります。
このほか介護食のブースは大盛況で立錐の余地も無く、私は早々に退散してしまいました。そして介護保険のデータ管理システムは1ジャンルを確立した感があり、そのうち単独で展示会うったりして。
…
他人の不幸の上に自らの幸福を築くのが資本主義社会。組織として共通の目標に向かっているかのように見えても、その途上にあっては必ずしもお互いが共存共栄でいくとは限りません。介護職は対象者の身体の外のことはともかく中でおこることに立ち入るのは非常に難しく、故に医療(職)との連携が不可欠なわけですが、それがきっかけで時として不当ともとれる抑圧に遭う・無意味な諍いに駆り立てられることも。役割・責任区分の違いだと己に言い聞かせてはいるつもりですが、福祉機器・用具について考えれば考えるほど彼(女)らとの溝を感じずにはおれません…来月、必ずココへ戻ってくることを誓いつつ再びお疲れバスへ乗り込んだのでした。
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