ウェルフェア2012見てある記
「日本の気候は最低最悪だ」去る25日、夜勤明け・残業に合わせてショボショボ降り出した雨に苛まれつつ行ってきました。例によって例の如く大 阪との重複はなるべく避け、本展ならではのモノを中心に紹介していきましょう…
橋本エンジニアリングの車椅子用アンチバック・ブレーキ、Newもどらん。シューにラチェットが仕込まれており、かけておくと駆動こそ重くはなるが上り坂を自力で漕ぎつつ途中で休めるモノ12:1だの15:1だのを真に受けて絶望的なまでに長いスロープ造っちゃうバカッチョがいるでしょ、アレ対策だ。ラチェットを専用レバーで固定してただのブレーキとしても使用可。既存の車椅子にリプレース出来超重要。ただし介助者用はフレームに穴開け加工が要るようだ、隙間需要を狙うようです、年内発売を目指すとのこと。以前より存在は知っていましたが実物との御対面は自身初、これだけでも名古屋へ来た甲斐があったというものです。同社はもともとクルマ・モーターサイクル部品の下請けで「リーマンショック以降市場が冷え込んだ。やはり貰い仕事だけではダメで、自らの技術で討って出ようと思っている」。是非下り坂用も、とお願いしておきました。マグネシウム合金製車椅子はまだ習作然としており、
熟成はこれからかのOXも初期の製品はほぼ全て回収を余儀なくされたそうな。マグネシウムの引張り強度はアルミと大差無く、幾ばくかの軽さ如きで業界大手に噛みつくのは容易ではないと思います。
日進医療器の車椅子・座王シリーズのバックサポート調整機構。他社従来機がベルクロバンドを平行に配していたのに対し袈裟懸けにしてより積極的な骨盤・体幹支持を目指します、たぶんに簡略化が狙いかも。昨年の福部ゼミで「せっかく調整した背張りベルトを『緩んでいたから直しておいた』と御家族が全部元に戻してしまった」との話がありました、文明開化なんてまだまだ先の話ですね。
脚漕ぎを更に一歩進めるとこんな感じ、なごや福祉プラザが出展していたフランスベッド・ペダモ。健側のキャスター軸が操行ハンドルとつながっているのがミソ脚で直接地ベタを蹴るのと異なり腕が暇にならない。車椅子マラソンがあるくらいですから本機のワンメイク・レースなんてのもそのうち始まったりして。
発明屋SOGO(合同会社BELL扱)の車椅子搬送システム・ハーモニーSGEVと段差越えローラーフットサポートの下に付いてるインラインスケートみたいなヤツ。車椅子へ専用アダプターを介して自転車を連結、押して歩くよりも行動範囲が広がる、かな。乗り降りの出来る子供を乗せるのとは異なり、車椅子+人は屋内外を問わず基本常にセットですのでこういった工夫も要るのでしょう自転車が電動アシストなのはいかにも、車椅子+人は決して軽くありませんものねェ。牽引式にしなかったのは車椅子を「押す」イメージにこだわったから?でも何だか無理してる感が…クルマ屋が福祉車両に少なからぬ開発費突っ込む理由が少ォ~し解るような気がします。
引き出したトイレットペーパーを切るのは意外以上に手の巧緻性が求められるもの、全てのペーパーにミシン目が入っているわけではありませんのでいつまでもズルズル引っぱり続けたりしていませんでしょうか?そこでテレショップ風に登場したのがシコクの電動ペーパーホルダー・紙トール。おでこのセンサーに手をかざす何だかどこぞの邪宗みたいだとペーパーが一定量畳まれて出てきます♪引き出し量は3段階・折り畳み幅は2段階にそれぞれ調節可。業務用・500mペーパー用も目下開発中…1台6~10万円外装素材によるかけてでも他人に頼らずに済むことを良しとす可き?本機と同じ仕掛けをドイツ人みたいにメカニカルで作れたらケッコウな発明だと思います。
介護職が特攻機なら彼はさしづめ飛行爆弾、以前期間限定カキコでも紹介した東海ゴム工業の介護ロボット・RIBA-Ⅱ。「腰が痛い」などと文句も言わずチカラで持ち上げちゃいます腰関節にモーターの負荷を減らすスプリングを追加したとか。ソレってコルセットじゃん。制御の要はスマートラバーセンサ、圧力・重量を分布で検知することでバランスもとっているらしい。また触れるだけで機器を操作するところには未来を感じましたTVゲームのコントローラーなんかすぐ作れるよねが、ロボット1台にオペレーターが1人侍っていたのでは「作業」効率など上がりませんソイツに介助技術教えたほうが早いのでは?。オマケに土台がやたら巨大、当院の病室は狭いので彼はベッドに近づくことすら出来ません!スマンが諦めてくれ。
同社製エアマットはこれまで「およそこんな感じ」だったセル毎の空気圧制御を定量・最適化出来るので、システムをブラックボックス化してマット屋に売り込めば市場を食え…まァせいぜい「もう現場嫌だからケアマネ」向け研修会で見せびらかすのが関の山でしょう。
アザラシから人間に近づいた?東郷製作所・中京大共同開発のベビロイド。各種センサーを備え「お世話」、或いは放ッたらかしに喜怒哀楽のリアクションを見せます。高齢者向けなのでしょうが、私は「本来子育てしてる筈の」独身にウケると思います、何しろ泣き喚いたら電源落とすだけで済みますから!私のいる病棟の患者様が身につけてるオキシセンサー勿論点数稼ぎよ、ちょっと動いただけでも心拍をロストして
アラームがピーピー鳴るので職員は一時消音ボタンを押してまわるのが仕事なんですよ、そっくり。同社は能動義手も手掛けているそうです、Otto bockの好敵「手」となるか?
ジェイ・ワン・プロダクツ扱の体幹装具メディカルバンド・ラクナール。「腸腰筋は長時間緊張できないので座位いわゆる90度90度はなかなか保ち続けられず、すぐズリ座位になってしまう。故に人は頻繁に着座位置を変えてストレスを分散しようとする(福部節子)」その腸腰筋、ひいては骨盤を支え、エクササイズ効果が云々…まで来るとちょっとアヤシくなりますが。日本中のデスクワーカー達がこんなこと始めたら笑える、否、発破をかけたくなりますね、「おまいら、他にす可きことがあるだろう!」。
これぞウェルフェア、なのが韓国観光公社のブース。画像はマッサージ、なのかな?先日新婚旅行で韓国をまわってきた同僚が「物価は安いし食い物は美味い。まるで夢のようだった」と話していました。アチラの人は普段感情をあまり表に出さない、と聞いたことがあります、チマ・チョゴリを纏ったモデルさんが無愛想だったのはカラーなのかしらん。
今年もカマシてくれたのが陸自第10師団、おそらく東北でも活躍したであろう「走る手術室」。2台をモーターホームの如く連結、更に横へキャビンを張り出して現地オペをするだけでなく、同時に各種検査までこなせる周到さに見物客達は皆驚かされていました。「備える」とはこういうことを言うのですね。
手術灯はLED、リコイルになってるところがちょっとマニア心をくすぐります。ブース脇には津波に飲まれた時刻を指したまま止まった時計など、震災の惨状を伝える「モニュメント」も出展されていました。
…
此度の名古屋行における自身最大のサプライズは同駅前のビッグカメラ店頭を賑わすタブレット端末の値段だったりしますが、ソレはさておき…内容の濃さインチキ臭さもは東京・大阪に引けをとりませんので、興味のある方は足を運ばれることをオススメします。次回は2013年5月24~26日開催予定。
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