丸メカニック№40 グラマンF6Fヘルキャット
実は私、F6Fという道具が零戦以上に好きです。
次号巻末の編集後記頁には「われらがゼロ戦を粉砕した憎っくきヤロー」との読者投稿も見られましたが…正直に書かせて戴きましょう、私にとって本機は「憎っくき邪教国家・大日本帝国を粉砕したヤロー」であります、きっぱりと。たとえソレがアメリカの所業であったとしても、ね。また「18年から19年にかけての退勢挽回のための、応急手当的な機体だったように思われる(志賀淑雄)」と分析してみせたところで、もとよりアメリカに戦争を仕掛けた=戦争の意味を解っていない、との謗りは免れません。
R-2800搭載機恒例・プロペラと地面とのクリアランス問題について、「余肉(エンジン下部には滑油冷却機ダクトを設置)を利用してプロペラと地面との間隔を確保した」とありますが、この表現は適切と言えません。3面図をつぶさに見ますと単純にエンジン(プロペラ軸)と主翼との位置関係は通常の低翼配置と殆ど変らず胴体に対しては「半低翼」になろうが、下部胴体はクリアランス云々と直接関係なさそうです、実際本機の主脚はケッコウ長い。ソイツを後方引き込みで収められたのはグラマン伝統、長翼弦・低アスペクト比の主翼あってのことと思うのです、即ち「フツーに対処してる」。「何が何でも戦闘機採用を」と逸ったチャンス・ボートに対し、当時既に艦上機で実績があったグラマンの余裕を感じます。
またこのような翼は空気抵抗が大きく、スピードでは不利でも重心移動の許容量が大きく燃料・潤滑油や銃弾消費に鈍感。胴体/主翼下への諸装備搭載にも有利、操縦が易しくなる傾向があるようです。そして胴体がやたら太いのはともかく操縦席をこれまた空気抵抗増は承知の上で高く配して前下方視界へも配慮、これが戦中パイロットの大量養成を可能にした人間の開発が一番手間取るのだ。フラップの速度/開度制御機構等々、諸装備の充実ぶりも無視できない要因ではないでしょうか。技術陣は戦争という非常事態にあって己がす可きことをよく理解していた、ともとれます。
発刊当時、子供心に感銘を受けたのは機体構造でもなければ戦績でもない、グラマンの社員サポート体制です。そのまま引用しますと…
…特筆すべきは四年間で35倍に膨れ上がった従業員の大部分は、飛行機の生産など全く経験していない人たちばかりで、しかもかなりの割合を女子が占めていた点である。
戦時にもかかわらず、グラマンは従業員に対してあらゆる手段を持って、このハードワークにこたえた。クリスマスには一人一羽ずつの七面鳥が贈られた。従業員の数が増えすぎて、今度は感謝祭の時には数が不足するというハプニングも生じた。グラマンは七面鳥を求めてロングアイランド中を駆け回った、といわれている。
働く母親のための保育所、昼休みのソフトボール、得意の航空ショー、ダンスパーティ、カウンセリング等々、100%の労働力をひき出すためのあらゆる手段が実行に移された。中でも傑作がジェイク(・スワーブル)の「グリーンカー・サービス」で、とにかく労働者たちが作業に集中できるためのあらゆるサービスを、24時間体制で提供したのである。電話や伝言の取り扱いはもちろん、自家用車のタイヤ交換、バッテリー充電、台所のオーブン消し忘れ処理、家族の通院など、ジェイク自らが身を粉にして従業員の面倒を見たのである。この結果、ヘルキャットの生産も向上し、欠勤率も下がり、驚くべきことに「組合」すら結成されることは無かったのである。
…どこまで本当か分りませんが、総力戦とはこういうものだと思うのです。「人は石垣 人は城」と歌うわりにはその意味を考えようともしない日本人、相当以上にいる筈。翻って当院の背広組には言っておきたい、「医者を崇め奉るのがお前等の仕事か!」今春より新しくなる当院のユニフォーム、その洗濯は「各自でやれ」。以前も書きましたが何に曝されたか判らないものを院外へ持ち出すリスクに、彼等は思い至ったことがあるのでしょうか実は院内・洗濯業者先での紛失が後を絶たないので職員のかなり多くが自宅へ持ち帰っている。貴方のトコはどうしてますか?。新棟オープンは来月なのに未だ人員基準をクリアできないらしい。病室は規定ギリギリなのに医局は広大で、職員達が呆れてた建設とやらで諸手当は差っ引かれあらためてヤクザの中のヤクザ・病院機能評価機構の審査が入るんでしょ、ミカジメ料は幾らだ?、これで私のロッカーも上下2段型勿論片方しか使わせてもらえない。自転車通勤に係る装備は意外以上に多いのだ。クルマ生活者には解るまいにされた日には今後を考えねばなりません。
ともかく、文句は真打・F8Fの実力を検証してからにしましょう。
「P-47ほど良い飛行機ではないね(K.ジャーンステッドリパブリック社テストパイロット。C.リンドバーグがF6Fの脚の不具合に悩まされつつ着陸してきたのを受け)」
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