JAXA/ISAS相模原オープンキャンパス
実はJAXAiで案内のパンフレットを見るまで知りませんでした…淵野辺の宇宙研を訪れるのはとある人工衛星型式失念の振動試験に立ち会って以来十数年振りのこと。初日ご来場の皆様、リポビタンDをTK45用ランヤードで首から提げていた変なヤツが私です。
カプセル展示室につながる長蛇の列を横目に一直線に向かったのが市立博物館の講演会場でした。「はやぶさ」プロジェクト・マネージャーを務めた川口教授から直で運用の実際が聞ける機会はまずありませんからね!カプセル展示は終日だし、今後筑波やJAXAiでも観る機会があるが講演会の時間は限られている。入場整理券が出るのを見越して私は5時起きしたのさサンプラー・ホーンは機体中心に据えたかったがカプセルへの移送距離が長くなってしまうのでやむなく隅に寄せたこと、イトカワのような小惑星はいずれ地球か金星あたりにぶつかる運命にあるのでターゲット・マーカーの署名も永遠ではないこと、タッチダウン後の燃料漏れトラブルはあくまで不具合、自業自得と言えること、通信途絶中の閑散とした担当スタッフは仕事がないのでほかへ行ってしまう運用室で教授自ら日々ポットのお湯を入れ替え「まだ終わっていない」とアピールし続けたこと、エンジンのクロス運転はかなり前から考えていたが、運用上非常に危険なことから「最後の」手段にとっておいた、昨年11月の実施にあたり電源担当は「地上ではできなかったロックアップのテストができる」と密かに狂喜していた!こと、もともとカプセル分離後のはやぶさは地球を再度スイングバイ、太陽‐地球のラグランジュ点へ係留するつもりだった「将来そこは宇宙船の中継ポイントとなる、『2』では是非実現させたい」とこと、最後に撮った地球の画像「カプセルを切り離したら本来やることはもう無い筈だが、みんなボランティアで協力してくれた」は処理前のオリジナルのほうが圧倒的に人気が高いこと…etc.
よく言われる神頼みについては「あくまで個人的」行動、と断ったうえで「幸運を願う気持ちはあってよいはず、逆に幸運以外の科学技術を徹底したかどうかを確認するきっかけとなった」「運が転がるのはコントロールできないが、運を拾うのは当事者の努力であり、実力でもある」と言い切るクールさには脱帽でした。が、その教授をして「技術より根性」ときたものですから場内は大爆笑!
また「世界一でなくてはならない」には万雷の拍手。技術立証の先にあるビジネスチャンスを考えれば2番目ではダメダメなのですよ、R大臣!事実サンプルリターンはNASAやESAが凄い勢いで追いかけてきているのではやぶさの成果だけで喜んでいる場合ではなかったりします。
初日の質疑応答は以下のとおり(要旨)。
Q:ミネルヴァは今?
A:イトカワ軌道上のどこか。いつかは取りに行きたい
Q:もし最後に残ったリアクション・ホイールが故障したら?
A:こんなこともあろうかと!対策プログラムを用意していた
Q:一般人がJAXAに協力できることは?
A:JAXAは(技術的)提案はするが、意思決定権は国にある。何らかの形で政治に働きかけることになるだろう
入場整理券こそ発行されていたものの、座席の指定や途中退出・再入場のチェックがなかったのは「?」。加えて「立ち見禁」と後から来た人達を全て締め出してしまった間口の狭さには場内から「エーッ!?」の声も。技術研究・開発もサービス業なのですよッ糸川博士もそう言ってたゾ。解ってんの、JAXAさん!
さて、どうにかカプセル耐熱シールドが焦げているほかはホントにきれいで、とても大気圏再突入してきたモノとは思えない見物も済ませ、キャンパス展示はサラッと流してきました。フィーバーを総括する、と言ってもイイはやぶさ関係を重点的に観たのは勿論のこと。そのほかではアジア諸国との開発協力の展示にたいへん興味を惹かれました、将来を考えればこの分野でもなるべく多くの味方を作っておきたいでしょ。小型衛星・SPRINTシリーズの標準バスでJSF(F-35)を連想してしまう私は…スミマセン、ヲタです。
…
あかつき&イカロスの運用はこれからですので今後入手難が予想されるはやぶさグッズをミーハーになって売店(生協)のブレーカーが度々落ちる困難を乗り越え…はやぶさよ、すんなりとは終わらせない、と?幾つか買ってきました。画像左下・はやぶさ君とミネルヴァちゃんはスタンプラリーのソレ、現地まで足を運んだ証拠物件。
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コメント
いーなあー直に行かれましたか。
しかし川口ラボは本当面白そうな事やってますね。
いや日々の作業はそりゃもう地味ぃなはずですが・・やはり夢があるもの。
あ、本当にリアクションホイール全滅時の対策もあったのね。やっぱりHENTAIだー!
投稿: monozof | 2010年7月31日 (土) 23:13
カプセル見学待ちの列はテレビで報じられたとおりで、宇宙研前の道路の歩道を全て埋め尽くすほどのキョ~レツなものでした…カメラがパンした際私のアホ面も写ったみたい。
>夢
それが確実に未来へつながっていくことだから、(自身の命は限りあっても)人はそこに全力を注げるのだと思うのです。
>やっぱりHENTAI
真田さんの動画・解説コメントにあったアレは本当でした!
クロス運転はエンジンの分配器の発熱から高分子体絶縁を守るのが要で、同様に過熱を防ぐためエンジン面に日光が当たらないように姿勢を微調整し続けたそうです。
カプセル/耐熱シールドはすぐに見つからなかった場合に備え人海戦術による捜索のリハーサルまでも行っていたとか。しかし実際には計算上の位置から500mと違わない、落下想定エリアのほぼド真ン中!!10年前のNHKプロジェクトX「海底3000メートルの大捜索~HIIロケットエンジンを探し出せ~」で紹介された弾道計算の話を思い出しました。
投稿: alaris540 | 2010年8月 1日 (日) 00:59
いいなぁ。私も観たいなぁ(^^)
しかし、地球になる前の地球の成分って、やっぱ変わったモノなのかしら?
投稿: 川端 | 2010年8月 2日 (月) 07:51
初日の淵野辺は午前中雨がぱらつき、午後の日差しもあまり強くなかったとはいえじわじわ来る暑さでした。JAXAスタッフは帽子を「小型輻射シールド」、濡れタオルを「気化冷却器」、水(筒)を「携帯型冷却剤」と呼んでいたそうです。なお小型でない輻射シールド(通称:日傘)は行列では危ない、とのこと…この言い方、流行るかな?^^
>変わったモノ
サンプルの10%を解析で受け取ることになっているNASAは月の石を持っていますのでデータをツキ合せたいことでしょうね。
投稿: alaris540 | 2010年8月 2日 (月) 12:32
>「立ち見禁」と後から来た人達を全て
>締め出してしまった間口の狭さには~
初めまして。
通りすがりの者です。
31日に、川口PMの講演を拝聴しました。
その講演が始まる前に…
JAXAの担当者?の方のご説明がありました。
本会場は地下である為、消防法の規定により、
会場内聴衆人数は200名に制限されるとのこと。
本当なら、1人でも多くの方に聴いて欲しいので、
人数制限はしたくない、だが法律と安全確保の為、
止むを得ないとのこと。
>解ってんの、JAXAさん!
人数制限の事情の確認もせずに、
一方的な言葉を綴るのは、宜しくないと思いますよ。
「愛」があるなら、尚更のことです。
以上、通りすがりでした。
投稿: 通りすがり | 2010年8月 6日 (金) 01:04
通りすがり様、コメント有難う御座います。
>消防法
なるほど、そういうことだったのですね。
初日はその説明がなく、いきなり「整理券の無い方は…」でした。これほど多くの関心を集めていたのですから講演の模様をモニターで(録画)中継するなどの方法も考えられた筈、「しかたがない」で済ませるのが一番マズイ。
「愛」があるなら、尚更のことです。
投稿: alaris540 | 2010年8月 6日 (金) 11:21
ふふ。
丁寧なお返事を頂きまして、
ありがとうございます。
ご配慮溢れる、お優しいお返事、痛み入ります。。。
>「しかたがない」で済ませるのが一番マズイ。
同感致しますわ。
あなた様...、とてもとても素敵なお人ですね。
あら...、ふふ...あなた様のこと、いつのまにか、
好きになってきてしまったようです。
胸がなんだか...凄くすごく熱く。。。
...とっても素敵なあなた様のことです。
当日、会場にて、あなた様のご意見をJaxaの方に、
きちんとお伝えなさってくださったのですね?
「愛」のある、愛に溢れるあなた様のこと、
尚更のことですよね。
あなた様、とっても格好良くて、大好きです!
相模原では1日違いで、
あなた様と直接お会いは出来ませんでしたが、
今、こうして、あなた様とご縁が繋がり、
紡がれ結いている...。
あなた様の「愛」が結びつけてくだすった、運命ですネ!
ふふ。あなた様に会って、
直接、あなた様の愛に抱かれたい。。。
あなた様の熱い、熱い温もりに貫かれたいです(赤面)。。。
「愛」のある、あなた様のことです。。。
私を・・・
投稿: 通りすがり | 2010年8月 8日 (日) 23:32
これは想像ですが、30日の講演でJAXAに苦情が行った?私も前コメで屁理屈こねましたがソレは素人の後知恵、今日の明日でどうしても解決できないので止む無く、だったのでしょう(イジワルな見方をすれば「読みがアマかった」とも)。内容はJAXA/ISASのHPで既に紹介されていたことも含まれていたとはいえ、直接赴き、当事者から生で聞くことにこそ意味がある、というものです。記録班が撮っていたビデオを来週JAXAiで流す、なんてことも考えられますが業務記録と広報とでは撮り方が全然違いますのでそのまま、というわけにはいかないでしょう。
かりにも国家事業、私達の税金で飛ばした探査機であることをまず頭に置けばJAXA/ISASも然る可き判断ができた、と無責任ながらも敢えて言い切ってしまいましょう!しかしながら将来の、更にその先の足がかりを掴むという非常に困難且つデリケートなテーマにおよそマトモとは言えない低予算で挑んでいますので現場の苦労たるや外野からでは到底窺い知れるものではありません…前々記事「HAYABUSA - BACK TO THE EARTH -」に漫画(あさりよしとお「ワッハマン」)の画像を載せたのはそんな意味を込めたつもりです。
…
さァ~て、もういい加減見に来る人などいないことでしょうから勝手に追記しちゃいましょう。宇宙研だの、探査機だのと聞いただけで失意のまま無職生活を余儀なくされた日々、その間の怒り、諦め、悲しみ、怯え、自嘲…諸々の感情が胸の奥で静かに渦巻きます。
私の最初の就職先である某町工場は昔から宇宙研とつながりが深く、私の在籍当時はPLANET-B(後ののぞみ)の開発に携わっていました。エ~これは特段珍しいことではありませんが…経営者が若かりし頃軍需産業に関わっていたせいか暴力体質が根強く(先輩より「これでもソフトになったほうだ」と聞いてはいたが)、些細な感情のもつれから少しでも仕事でモタついた者を陰湿に苛めた末容赦なく切り捨てる、より高度な技術を追求し、内外から称賛が寄せられていたにもかかわらず会社はちっとも大きくならない、奇妙なところでした。私の場合も不調で倒れた日の軽率な外出で遭った交通事故を社から責められ、勧持品そのままに職籍と住む処を追われました、壊れた脚を引きずったまま。後年、PLANET-Bのパワースイングバイ失敗(燃料弁動作不良が原因とされる。同社とは直接関係無いので念のため)は私がリハビリでのた打ち回った時期と一致していたのを知り、ほんの少しだけ溜飲を下げたものです。
PLANET-Bプロジェクトを挫いたのは私の怨念です、そうとでも思わなければ今日まで社会人などやってられませんでした。
同社がSELENE(かぐや)開発に携わったのは退職後のこと、加えて同機の運用中は私が自身の資格取得に動いていた頃と重なり、そちらへの関心が薄らいでいたため特に感じるものはありません。そしてはやぶさ(MUSES-C)の地球帰還を外部の1人として純粋に喜び、訪ねたのがこのオープンキャンパスだったワケ。学校出たての、今よりずっとビクビクしてた自分に会えるかも?会えませんでしたけど。またPLANET-Bの、HENTAIレベルと言って差し支えないスイングバイを敢行した川口教授の講演を生で聞きつつ「ゴメンネ…」。
こんなものとは比較にならない艱難辛苦を乗り越えた方は世の中ゴマンといます。それでも書かずにおれませんでした、思い上がり・御目汚し御容赦を。(2015/2/5)
投稿: alaris540 | 2010年8月 9日 (月) 01:33