斜ウス問題
福祉用具専門相談員になったからというわけではありませんが、車椅子の話を。
5年程前の話。
「alaris540、フットレストが留まらないが直せないか」…私のもとにはたまにこんな話がやってきます。見ると確かにフットレストがカクカク、スパナで締めても留まりません。「どうなってんだ」と引き抜いてみたところ、なんと斜ウスがすっかり磨り減っていました。「(あちゃァ~、こりゃダメだわ…)申し訳御座いませんが、この場では直せません」居合わせた御家族には事情を説明し、業者を通して頂くようお願いしました。
原因は購入当初からボルトをしっかり締めていなかったためでしょうフットレストの高さは地面から80~100mmが標準。本来はここから座る人の下肢長に合うよう座面の高さ(クッションの厚み)を決め、更にそこからアームレストの高さを+250mm前後に設定する。フットレストが低いと外出の際段差越えが難しくなるが、病院・施設内限定なら少々低くても支障なし。フットレストは当然座る人に合わせるべく調整するからか、新品の車椅子の中にはボルトをキッチリ締めていないものがあります。だから曲がる→手で向きを直す→でも使っているうちに曲がる→また手で…相談された車椅子の斜ウスは真鍮の六角棒から削りだされたもので、動かしているうちに六角の角が鉄のチューブの中でゴリゴリやられて角が無くなり、ウスがバカになってしまったようですコレがホントのウスラバカ!?ウスに真鍮を使うのはカジッて動かなくなるのを防ぐため。
チッキショォ~、旋盤フライスがあればこんなモノすぐに作り直せるのによォ~!
最近はここまでヒドイ粗悪品は見られなくなりましたが、患者様の身体に合わない安物と付き合わされている状況は相変わらずです。
さて、ギョーカイの申し合わせでないとは思いますが、多くの場合斜ウスのボルトはM8、従って六角頭の対面距離は13mmです。「13」と刻印のあるスパナでエイッ、ボルトが回らないときはスパナをかませたままスパナ先端をハンマーでブン殴ります。叩く向きを間違えていなければボルトが…えッ、ボルトの頭が出てくるだけでフットレストが動かない!?そんなときはボルトの頭をハンマーでブン殴ればOK、これで調整が出来るはずです。調整箇所だというのにグリスを塗ってないのには毎回呆れます、思わずワセリン塗っちゃったことも。フットレストの固定にはこのほかバンドクランプによる機種もあり、いつも増し締めをするなりチェックさえしていれば問題ありませんが斜ウスより緩みやすい傾向があるようです。
先日、隣の部署でフットレストが抜けただけで修理依頼が出ていたのにはガックリさせられました…オメェラ、勉強してきたんじゃなかったのか!現場職員たるものタイヤの空気圧管理やフットレストの突き出し調整は勿論のこと、パンク修理・ウッズバルブの虫ゴム交換・ブレーキマウントの位置決めくらいは目をつむっても出来るようになりましょうねッ。画像は斜ウスの一例、自転車用ハンドルステム・日東 パールのものです。
(本記事はYahoo!掲示板「看護助手やってる人いますか?」へ私が投稿した内容に加筆したものです)
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