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2007年10月21日 (日)

第34回 国際福祉機器展 H.C.R.2007みてある記・裏ケース会議編

とっととシメにいきます。タイトルの裏ケース会議とは、サービス担当者会議や書面上のケアプランとは別に現場職員が休憩時間や電話の中で「現実的対応」を話し合う、という…「だってしょうがないじゃないの」であります。車椅子編メカヲタ編もあわせてド~ゾ。

Mini_sd_033アルケーウィルの布製失禁パッド。山下リネンサプライのベッドパッドを小さくした感じで、左が女性用、右は前開き形になった男性用です。私の部署の婦長なら「布が紙に取って代わった理由が解らんのか」とツッコミを入れそうですが、どっちがどっちかはまだ決着が付いていない、ということなのでしょう。程度によって様々な選択肢があっていいと思います。

Mini_sd_062スミマセン、回りきれませんでしたので会場入り口付近に落ちていたパンフのみです。竹中エンジニアリングの徘徊感知システム。天井、ベッド及び柵、マット、更に屋内各所に設置されたセンサーと職員が携帯するワイヤレス・レシーバーとをリンクさせることでラウンド中であってもどの部屋の誰がどういった動きをしたかまで判るそうです。画像中・ご老人のイラストに注目、いつもおとなしく首にAC-T(トランスミッター)を提げていてくれればいいんですけどねェ!異物・不快なものは取っ払いたくなるのが並の神経というもの。認知症を患っていなくとも入れ歯や補聴器が枕元に放り出してある、なんてのはよくあることですので。私は「老健・特養などの1人夜勤を容認・常態化させ、担当職員の負担をかえって増やすことにつながりはしまいか!?」と勘ぐってしまいました、古い考えでしょうか。先日のセミナーで鳥海さん「コレは「禁止の対象となる具体的行為」11項目にはない12番目の身体拘束。そのうち厚生労働省が目をつけるだろうから今ある在庫をとっとと売り切って新規受注はするな、と業者にけしかけた(受講者爆笑)」…サイドレールではないモノでベッドを囲ったり、と身体拘束もF1のマシンデザインと一緒で規則の裏読みばかりですね。(2008年10月3日・追記)

Mini_sd_051Mini_sd_052装着して思わず「これは介護職にとって麻薬ですなァ!」と口走ってしまいました。画像左はダイヤ工業の介護用コルセット「メッシュアクションギア」です。伸縮性のあるメッシュで蒸れを防止、クロスベルトの調節でテンションを最適化させている、とのこと。腰の調子が良くなったように錯覚してますます力任せの介助をやってしまいそう!それに私の腰痛は介護が原因ではありませんし。画像右はそのダックスフンド版。同種の腰が、とは話に聞いたことがありますが、本当に作ってしまうとは。

Mini_sd_034コレは何かと申しますと、手すりの継ぎ目の面取りをチェックしているところです。位置関係や断面形状がドーノ、と言ったところでこういった部分での手あてがアマいと非常に使いづらいものになってしまうからです。このほか画像は撮りませんでしたが、軽い力で開けられる扉コレとかコレはモジュールに応じて複数のサイズが設定されて入るものの、いざ設置となると柱をずらしたりなどかなり大掛かりな改修になってしまうようです。介護保険の住宅改修費・18万など焼け石に水で、ケアマネや福祉住環境コーディネーターはこれとは別に各自治体の上乗せ・横だしサービスによる補助で利用者負担を如何に減らせるか徹底的に調べ、コスト計算することになります…住み慣れた我が家で、って本当にムズカシイ。

Mini_sd_031こう見えてもエプロンです。FOOTMARKのブースに展示されていた「うきうきエプロン」。コレをかけた方がウキウキするかどうかはともかく、日頃こんなジャージばっか着せられてる患者様その色から職員は「菱餅」と呼んでいるには「せめて食事時くらい」と思うのです、「首からペロンとつり橋のようにかかる(髙口光子)」のは一緒かもしれませんが。一般的介護用エプロンと同じ防水布(ポリエステル)ですので乾燥機ですぐ乾いてくれそう。

Mini_sd_025安寿ことアロン化成の多機能ポータブルトイレ。シャワー洗浄機能はもとより介助者へのコールまで付いたゴージャス仕様!その代わり重量もゴージャスになってしまいました。画像の機種は足元の空間がもっと欲しいですね。このほか便座にリンクの付いた立ち上がり補助機能付き、なんてのも展示されていました。ポータブルトイレは安定性を考えるとかなり大きいものにならざるを得ず、狭い病室でやたら場所をとることから職員は「ポータブルトイレを置くか、とっとと車椅子に座らせトイレへ連れて行くか」と議論を始め…。同社のパンフを入れる紙袋はやたら大きく、荷物をなるべく減らしたい私は貰うのに抵抗を感じましたので次回はご検討を。

Mini_sd_032AP-RONの職員用ユニフォーム。最近は発汗性に配慮した素材が出てきているそうですのでポリエステルの混紡率が高いからといって「暑くて着てらんねェ」ってことは減ってきている、ような気が…あまりしないなァ。帝人には頑張って欲しいところですが、そういった機能性繊維で作ると高くついてデスクワーカーに嫌われる?私の病院で先日新しくなったユニフォームはポリエステル85%のやたら薄い生地で、「夏暑く冬寒い」と職員の間では不評です。「ならば冬用に」と事務は1着3000円もするジャージ中身は安物、との噂を売りつけてきていますが、私は絶対買わないもんねェ~。

その帝人は大腿骨頸部骨折防止プロテクター付きパンツ「セーフヒップ」を出展していました。ウ~ン、頸部だけでは不安だから背中と腕と脚にも…そりゃダイネーゼだ!Mini_sd_028_3Mini_sd_027_4そして画像は同社のベッドパッド「エアクィーン」。通気性と体圧分散性を追及した中空構造だとか。このテの製品に求められるのは一にも二にも防水性だったりします、丸洗いOKだとは言っても排泄物が浸透したら厄介ですからねェ。

試供品欲しいなァ~、と思ったのがQORPUS VITA(飛翔・扱)の体位変換シーツ「エリグライド」。使用感はPATSLIDEそのもの、あの滑らせ方で寝返り介助ができます。興味深かったのは左右方向にはよく滑るのに身長方向に滑りにくいこと。にもかかわらずギャッチ操作で背中の皮膚が引っぱられる感触が非常に少ないことに驚かされました。残念ながら防水性は無いためその際はラバーシーツを上から敷き、一緒に滑らせるのだそうです。撤収時間に差し掛かる中でも営業さんは丁寧な説明をして下さいました。この場を借りてお礼申し上げます。

「会場がバラケて見づらかった、自助具の展示が少なかった、要支援で稼ぐなら杖やシルバーカーぐらいか」などといった話を横で聞きながらギュウギュウのバスで東京駅へ向かったのでありました…派手な展示品にばかり目がいってしまいましたので、次回来場の折は自分の仕事に直接関係する身近なものを重点的にチェックするつもりです。

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2007年10月14日 (日)

「マッハ計がおかしいぜ!」

今日はX-1(XS-1)の音速突破60周年です。

Mini_sd_061というワケで、先ほど映画「ライトスタッフ」オリジナル・サウンドトラック・スコアを聴いておりました(オリジナル「サントラ」、どっかにないかなァ~)。「スコア」は「サントラ」よりも音が軽いように感じられますが、皆さん如何でしょう?同映画については今更ここで説明するまでもありません、コレを観ない奴は男の子の看板降ろしてもらいたいくらい、アツい物語です。あさりよしとお「まんがサイエンスⅡ・ロケットの作り方おしえます」ではジェットエンジンで大気圏外へは出られないことを説明するくだりでNF-104のシーンをパロッていました(こちらも必読)。

コナミ「ポリスノーツ」ってパッケージ・イラストといい、「OPENING TITLE “OLD L.A. 2040”」といいもろライトスタッフだよねェ~、と一緒に撮影しちゃいました。

追記:去る4日(日本時間5日)はスプートニク1号打ち上げ50周年でもありました。ここで発信音が聴けます

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2007年10月11日 (木)

第34回 国際福祉機器展 H.C.R.2007みてある記・メカヲタ編

今回はメカメカしたもの、大きさのあるものにツッコミを入れてみましょう。

Mini_sd_059Mini_sd_054福祉車両についてはここ数年間特に新しい提案は見当たりませんでした。昨今のガソリン価格高騰で福祉車両の稼動が採算割れの危機に瀕している地域もあるとか。Mini_sd_053ホンダFitが低燃費だとは言ってもソレはほかと比べればの話。福祉用に限らずクルマ自体が製造過程を含めた石油依存から脱却できないと将来は厳しいのではおっと、自転車も一緒ですよ。アクセルとブレーキの踏み間違いによる事故が後を絶たない現状を鑑みれば手だけで運転できるシステムは健常者にこそ必要では?脚というのは意外と感覚が鈍いのですよッ。その自動車メーカーブース唯一の見所と言えたのがホンダの歩行パワーアシストシステム。こういう技術はもっと研究されるべきで、私はASIMOを初めて見たときからアレを発展させて高齢者やパーキンソン病、脳性麻痺の方の歩行アシストが出来たらなァ、と思っておりました。ようやくその「第一歩」が踏み出せたわけですナ。

Mini_sd_057クルマと車椅子との積極的連携を打ち出してきたのがダイハツ。エルガイムよろしくだいぶ違う車椅子自体がクルマのシートになるという、アニヲタが思いつきそうなデザインです。車椅子が結構重かったのはクルマのシートとしての安全基準をクリアするためでしょうか。

Mini_sd_056私の病院でも使っているOG GIKENの車椅子浴用シート。画像はフットレスト部で、左右が完全セパレートになったものの、車椅子~浴用シート間の移乗は相変わらずかなり以上の困難が予想されます。巨大なシートは座面が深く、バックレストはカーブこそついているものの板ッペタ1枚ですので身体の小さな猫背のおばあちゃんにはおよそ合いません。リンク先の「省スペース」「快適なリクライニング姿勢」「介助者もラクな姿勢」は嘘八百!!このほか各社からこれ見よがしの機械浴装置が出展され、デスクワーカー達の注目を集めていました邪推が、機械浴ゼロを目指したいまだ願望だけど私としては見るのも嫌なほど。一応クレームをつけておくのは単なる社交儀礼です。

Mini_sd_055…と言いつつもコレで遊ばせていただきました。^^ゞ洗い場~浴槽間の移乗用手動リフトです。吊りベルトを使わないので座っている人が怖くなく、新たに電線をひっぱらずに済むのがウリだとか。壁を補強できない場合レールを支えるL字型フレームがかなりのデッドスペースを作ることになりそうです。本機に限らず介助入浴メカのハンドルグリップは不自然且つ大袈裟なものが多く、フライドポテトの如く「椅子ごとザブン」自体日本人の生活習慣からかけ離れたものであると言わざるを得ません。

Mini_sd_035Mini_sd_036私はミカン畑の間をぬってコンテナを運ぶモノレールを連想してしまいました。こちらは歩行困難な方向けに階段へ設置するリフト。画像左のは使わないときレール下端をパラレロリンクで折りたたむ機構までついた大掛かりなものでした。画像右は屋外用に装置の防水性を高めた機種。座る人間にも防水性が求められるのでしょうか。

Mini_sd_042Mini_sd_040こういったものがあるとは知りませんでした。画像左は独オットーボック社の義足「C-Leg」。マイクロプロセッサーにより膝関節のダンピングを最適化、膝折れを防止するというまさにアクティブサス!その滑らかな動きは子供の頃見た義足のイメージを打ち破るものでした。「最も引き合いが多いのはアメリカ、やはり戦争の影響」…。右は同社の筋電義手システム。フライパンを持って料理をしているデモビデオも驚きの連続でした。

Mini_sd_041今回の展示で最も笑えたのがコレ。映画「エイリアン2」…じゃなかった、神奈川工科大学で開発された介護用パワーアシストシステム(リンク先・ちょっと下の方)。アクチュエーターにエアバッグを使うことで微妙な動きを可能にし、必要な力の約半分をアシストするのだとか。将来コレがもっとすっきりしたものになるのでしょうが、「介護は力が要る・腰を痛めるもの」という基本的考え方に問題があるのでは?私も介護力士士の一人ゆえデカい口は叩けないものの、腕力でカタをつけない、闇雲に引っ張り上げない介助技術の習得が近道だと思います(この件については後述します)。

みんな良かれと作っているのは伝わってくるものの、中には論理や方法が一人歩きしたものも見受けられ、「野郎の発想だよなァ」と思わずにはいられませんでした。次回はまだ続くのかよ!?私の仕事に近寄ったものを取り上げてみることにしましょう。→こちら

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2007年10月 6日 (土)

第34回 国際福祉機器展 H.C.R.2007みてある記・車椅子編

行ってきました、ビッグサイト。福祉・介護機器の展示会は7年ぶりです。会場がバラケていたせいもあって2日かけてもまわりきれませんでした。それでも内容は盛りだくさんですので98k様風に分割UPでいきます、まずは車椅子から。

Mini_sd_038Mini_sd_039「またパンテーラに座ってみたい」…7年前に地元で開催された展示会で衝撃を受けて以来あの軽さが身体から離れませんでした。軽量・高剛性のスチールフレーム、猫背にも対応できるバックレストの調節機構、妥協の無い各部の作りはまさにお手本と言っていいもの。主力モデル・S2が標準装備状態で約8kgと、ロードレーサーといい勝負です日本中の病院・施設にはびこっている同じくスチールの車椅子で15~16kg。SPINERGY SPOXがついたU2 lightに至っては6.5kg!画像右は同じく新製品・S2 swingのレッグサポート着脱機構。屈曲部のトリガーを引くだけで簡単に着脱・折り畳みが可能です。このレッグサポートをフレーム内側へたためるのは他社にはない特色で、ベッドサイドでは大きなアドヴァンテージになること請け合いでしょう同ベッドにピッタリくっつけられ、且つスーパートランスを妨げないのだ→バリアフリー2009で聞いたところ、S2 swingは同社の出荷台数の約3割を占める稼ぎ頭になったそうです、やっぱりねェ~。(2009年4月19日・追記)同社のブレーキ操作はちょっと癖のある独特なもので、安物しか知らないオバサン介護は面食らうかもしれません。車椅子1台に黙って30~50万出せる気合と価値観も求められます。

Mini_sd_049Mini_sd_050TiGのチタン製車椅子。標準装備で8kg代半ばながら折りたたみ機構を有するあたりパンテーラへの対抗意識を感じさせます。チタンに虹色の表面処理を施すのは同社ならでは。かつて同社の自転車はツブシを入れたチューブが割れたなど、あまりいい噂を聞きませんでしたが、展示されていた車椅子はいずれも欧州のTUV規格をクリアしているそうですので「経験値を積んだ」ということなのでしょう。22~30万は加工の手間を考えればバカ安だと思います。

Mini_sd_047Mini_sd_046画像左はパラリンピックでよく登場するOXエンジニアリングの競技用車椅子です。ホイールはCORIMA、フォークはオリジナルのカーボンで健常者でもグッとクる作りです。右は同社の車椅子についていたブレーキの利きをアジャストする仕掛け、レギュラーモデルのほとんどに標準装備されます。ダイヤルはシブいのですがタイヤの空気圧とは別に調整が簡単に出来るのはいいことだと思いますフツーはネジを2本のスパナで緩めてブレーキをマウントごと動かす必要がある。このほかcannondale SIX13を思わせる、カーボンチューブ+アルミラグの車椅子も展示されていました。

Mini_sd_045Mini_sd_043Mini_sd_044これらは何かと申しますと、パイプの出っ張りとかフットレストのピボットや裏側のリブが移乗時、特に介助を要する方の怪我を誘発する、というものです。フレーム内側のフラッシュサーフェス化は極めて重要だと思うのですが、各社のアプローチは甘い、と言うよりそこに気付いていないエンジニアは多いのではないでしょうか。

Mini_sd_024周辺技術も忘れてはなりません。画像はカワグレのUDG(ユニバーサル・デザイン・グレーチング)です。交通バリアフリー法(現・バリアフリー新法)を受けた、車椅子の通行を妨げないパターンとかで、従来のものが型で抜いているのに対しこちらは1つ1つスポット溶接で作ったそうです。「トラックに踏まれても平気な強度を出すのが開発の課題だった」とのこと。コレならロードレーサーでもハンドルを取られる心配がほとんどなくなりますね。

Mini_sd_048ライトネタをひとつ、台湾のメーカーブースにあったLEDライト付き電動車椅子。もちろんテールライトも付いています。クルマからすぐに気付いてもらえる、かな?まずこのLEDを換装してパワーUPを、と妄想が…。

イイものがあるのは解っていても(解っていない人のほうが多いように思うが)特に病院・施設ともなれば限られた予算の範囲内でしか機材を揃えられないのが現実です。しかしながら見かけのコストを削ることが長い目で見れば大きなマイナスにつながる例は枚挙にいとまが無く、「一時が万事」の怖さを知る現場として安易な妥協は出来ない、と思わずにいられません。与えられたものを使いこなすのもプロの仕事であることと、だからと言って何でもかんでも無条件で受け入れるのとは別の話ですので。そして「老いて、病んで、死んでいく人に価値は無いのか(髙口光子)」と、道具を作る・提供する人は常に自らに問いかけていかなくてはならないのでは、と思うのです。「人の価値は出会った人で決まる(同)」のなら。

次回はメカヲタ編です、乞うご期待!

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