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2007年10月11日 (木)

第34回 国際福祉機器展 H.C.R.2007みてある記・メカヲタ編

今回はメカメカしたもの、大きさのあるものにツッコミを入れてみましょう。

Mini_sd_059Mini_sd_054福祉車両についてはここ数年間特に新しい提案は見当たりませんでした。昨今のガソリン価格高騰で福祉車両の稼動が採算割れの危機に瀕している地域もあるとか。Mini_sd_053ホンダFitが低燃費だとは言ってもソレはほかと比べればの話。福祉用に限らずクルマ自体が製造過程を含めた石油依存から脱却できないと将来は厳しいのではおっと、自転車も一緒ですよ。アクセルとブレーキの踏み間違いによる事故が後を絶たない現状を鑑みれば手だけで運転できるシステムは健常者にこそ必要では?脚というのは意外と感覚が鈍いのですよッ。その自動車メーカーブース唯一の見所と言えたのがホンダの歩行パワーアシストシステム。こういう技術はもっと研究されるべきで、私はASIMOを初めて見たときからアレを発展させて高齢者やパーキンソン病、脳性麻痺の方の歩行アシストが出来たらなァ、と思っておりました。ようやくその「第一歩」が踏み出せたわけですナ。

Mini_sd_057クルマと車椅子との積極的連携を打ち出してきたのがダイハツ。エルガイムよろしくだいぶ違う車椅子自体がクルマのシートになるという、アニヲタが思いつきそうなデザインです。車椅子が結構重かったのはクルマのシートとしての安全基準をクリアするためでしょうか。

Mini_sd_056私の病院でも使っているOG GIKENの車椅子浴用シート。画像はフットレスト部で、左右が完全セパレートになったものの、車椅子~浴用シート間の移乗は相変わらずかなり以上の困難が予想されます。巨大なシートは座面が深く、バックレストはカーブこそついているものの板ッペタ1枚ですので身体の小さな猫背のおばあちゃんにはおよそ合いません。リンク先の「省スペース」「快適なリクライニング姿勢」「介助者もラクな姿勢」は嘘八百!!このほか各社からこれ見よがしの機械浴装置が出展され、デスクワーカー達の注目を集めていました邪推が、機械浴ゼロを目指したいまだ願望だけど私としては見るのも嫌なほど。一応クレームをつけておくのは単なる社交儀礼です。

Mini_sd_055…と言いつつもコレで遊ばせていただきました。^^ゞ洗い場~浴槽間の移乗用手動リフトです。吊りベルトを使わないので座っている人が怖くなく、新たに電線をひっぱらずに済むのがウリだとか。壁を補強できない場合レールを支えるL字型フレームがかなりのデッドスペースを作ることになりそうです。本機に限らず介助入浴メカのハンドルグリップは不自然且つ大袈裟なものが多く、フライドポテトの如く「椅子ごとザブン」自体日本人の生活習慣からかけ離れたものであると言わざるを得ません。

Mini_sd_035Mini_sd_036私はミカン畑の間をぬってコンテナを運ぶモノレールを連想してしまいました。こちらは歩行困難な方向けに階段へ設置するリフト。画像左のは使わないときレール下端をパラレロリンクで折りたたむ機構までついた大掛かりなものでした。画像右は屋外用に装置の防水性を高めた機種。座る人間にも防水性が求められるのでしょうか。

Mini_sd_042Mini_sd_040こういったものがあるとは知りませんでした。画像左は独オットーボック社の義足「C-Leg」。マイクロプロセッサーにより膝関節のダンピングを最適化、膝折れを防止するというまさにアクティブサス!その滑らかな動きは子供の頃見た義足のイメージを打ち破るものでした。「最も引き合いが多いのはアメリカ、やはり戦争の影響」…。右は同社の筋電義手システム。フライパンを持って料理をしているデモビデオも驚きの連続でした。

Mini_sd_041今回の展示で最も笑えたのがコレ。映画「エイリアン2」…じゃなかった、神奈川工科大学で開発された介護用パワーアシストシステム(リンク先・ちょっと下の方)。アクチュエーターにエアバッグを使うことで微妙な動きを可能にし、必要な力の約半分をアシストするのだとか。将来コレがもっとすっきりしたものになるのでしょうが、「介護は力が要る・腰を痛めるもの」という基本的考え方に問題があるのでは?私も介護力士士の一人ゆえデカい口は叩けないものの、腕力でカタをつけない、闇雲に引っ張り上げない介助技術の習得が近道だと思います(この件については後述します)。

みんな良かれと作っているのは伝わってくるものの、中には論理や方法が一人歩きしたものも見受けられ、「野郎の発想だよなァ」と思わずにはいられませんでした。次回はまだ続くのかよ!?私の仕事に近寄ったものを取り上げてみることにしましょう。→こちら

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コメント

家にも87歳の殆ど寝たきりのご老体がいるので、興味深く見ました。
介助は力が必要な場面が多いので、つい介助ロボットがあればいいなと考え勝ちですが、専門家の意見は全く違いますね。
最小の力で介助する方法はとても必要な情報です。続きを期待しています。

投稿: azu | 2007年10月12日 (金) 12:23

azu様、お久しぶりです。

恥ずかしながら私は最新の介助技術の講習を受け始めたばかりで、充分にマスター出来てはいません。ただ、起き上がり~移乗等に際し力の入れ方・バランスのとり方には約束事があり、親記事のような「スズメヲウツノニタイホウヲモチダス」が要るとは限らないそうで、実際日本のあちこちでソレに取り組んでいる施設もあります。

言葉で説明するのは非常に難しいのですが、技術講習の件は来月初め頃UPするつもりです。

投稿: alaris540 | 2007年10月12日 (金) 14:29

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